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第1回 Helioxの治療上の利点と臨床的な問題点について

質問 Helioxを使いはじめたのはいつからですか?また、何故使おうと思ったのですか?

答え Heliox の初めての使用は1934年で、喘息患者様に対して使われました。我々の施設では1980年代~90年代に使用を開始しましたが、同じく喘息患者様に対して使われています。Helioxはしばらくスタッフに人気がありませんでしたが、最近は我々にとって価値のあるツールとなっています。使用を開始した理由は、生物学的に不活性で副作用がないということ。また、質量が低く、高い拡散率があることです。更に最も重要な点は、密度が低いことです。軽いガスであるということが最も重要なことです。尚、酸素の密度は1.43g/L。100%ヘリウムではわずかに0.18g/L。つまり80%ヘリウムと20%酸素の混合ガスは、100%酸素の1.8倍も低密度で、大変軽いことを意味します。

 

質問 何故軽いガスであることが重要なのですか?

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答え  グラフ上の流量(Flow)を見てください。異る濃度のガスと比較しています。80/20の場合、ヘリウムが80%、酸素は20%です。グラフによると、80/20で最大のフローが得られることが判ります。この、フローが増すことの利点を我々は利用しています。つまり、Helioxは低密度という特性のため、狭窄部位をよく通過すると考えています。

 

質問  他にHelioxを使うことで得られる利点はありますか?

答え ガスは層流だと分子がまっすぐ中に入ってゆきます。逆に乱流の場合、分子がバウンドし、肺内へのガスの短時間の移動が減ります。効率的なガス供給には層流が望ましいと言えます。ただ、実際には、乱流と層流が混ざったtransition zone(移行地帯)が生ます。層流の方が乱流よりも効率的にガスを送れるというわけです。大きな気道では殆どが乱流です。気道が小さくなると transition zone(移行地帯)となり、正常肺では末梢になると層流になります。COPDや喘息患者さんではこのtransition zoneが変化し、乱流域がより肺の末梢に移動すると考えています。このため層流域を肺の末梢まで移動させるHelioxが有効であると考えています。

 

質問  具体的な治療方法を教えてください。

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答え 我々は通常、殆どの文献が示すように、60~80%のヘリウムを使用します。しかし60%以下でも効果があると言う文献も見られます。
一般的には、酸素飽和度が90%以上を保てる限りの最大限のヘリウムを使用します。
呼吸に関する利点としては、”必要とされる肺内外圧差の減少”が挙げられます。
”1回換気量の増加”が得られ、ガス分配の均一化が改善されます。
そのため、より多くのガスを必要とされる場所に送ることができます。また、”CO2の排出を促進”し、”呼吸仕事量を減少”します。これは重要で、COPDで人工呼吸器をトリガーしている患者様の場合、時として、内因性PEEPによりトリガーに問題をかかえることがあります。
Helioxはこの内因性PEEPを減少し、人工呼吸器のトリガーをより容易にします。他に興味深いことは、Helioxを使うことで”エアロゾル供給に改善”が見られることです。この点については、さらに述べさせていただきます。喘息のある患者様では明らかに重要です。気管支拡張のための治療には、より多くを肺に送ることができるからです。

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質問  肺内外圧差の減少について教えてください。 0020

答え この画面はViasys社製AVEAからのものですが、ここに圧、フロー、1回換気量が表示されています。人工呼吸器の設定はボリュームコントロール A/Cモード、換気回数12回/分、ピークフロー60L/分、PEEP 5cmH2O、フロートリガー、酸素濃度21%となっています。実測値は、1回換気量500mL、呼吸数12回/分、ピークフロー40L/分、分時換気量6L/分、動的コンプライアンス(Cdyn)14ml/cmH2O。最も重要なことは、初めの3回の呼吸はHeliox付きで、あとの3呼吸はエアーと酸素に戻しているということです。ボリュームコントロールなので1回換気量は一定で、フローも設定していますから、フローも同じです。違いは圧であることがお気づきになるでしょう。Helioxを使った場合、ピーク圧はわずか 22cmH2Oですが、使わなかった場合、ほぼ40cmH2Oまで達しています。ボリュームコントロールにおけるHelioxの利点は、肺内外圧差を減少させることです。これは肺を保護します。

 

質問  プレッシャーコントロールの場合はどんな利点がありますか?

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答え プレッシャーコントロールでは反対のことが言えます。人工呼吸器の設定は、プレッシャーコントロールA/Cモード、換気回数12、吸気圧17cmH2O、吸気時間1秒、他のパラメータは同じです。 圧を見てください。初めの3呼吸はエアーと酸素によるものです。次の3呼吸ではHeliox付きです。供に酸素濃度は21%。しかし初めの3呼吸ではバランスガスはエアー。次の3呼吸ではHelioxです。圧は同じです。フローが増加し、1回換気量はスケールからはみだしています。これは重要です。というのは、喘息患者さんではCO2の排出が問題となるからです。気道内圧を上げずに1回換気量を増やすことができれば、肺を傷めることなく、CO2を排出ことができることになります。また、プレッシャーコントロールで Helioxを使用すると、フローが増加していることにも気づきます。しかも層流で供給できます。 通常、フローを増すと、乱流が増加しますが、Heliox付きの場合は層流が増加します。そのためプレッシャーコントロールではフローと1回換気量が増加します。我々の施設では、プレッシャーコントロールが頻繁に使用され、Heliox付きで供給されることが多いです。何故なら、これらの二つがよりよいガス拡散を実現すると感じているからです。

 

 

<次回に続く>

 

(カージナルヘルス部 清野)

 

 

 

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