トップページ  / ユーザーの声 /脳卒中の再発防止には指標が必要 1 / 2 / 3 / 4 / 5

『 脳卒中の再発防止には指標が必要 ~大館市立総合病院 脳神経外科部長 佐々木正弘先生 』

聞き手
脳卒中ガイドラインの中で、現在、変化している部分もあるかと思うのですが、
この点についてお感じに なることはありますでしょうか?

佐々木先生 佐々木先生
抗血小板薬に限って言えば、チクロピジンに変わり、クロピドグレルに変更してきています。同じADP 抑制といっても副作用の面で、日本人の長期での臨床経過が得られていない部分があります。長期投与をした場合に副作用の問題はありますが、ただ、色々な文献を読むと、クロピトグレルは良さそうな感じはします。

私 もチクロピジンからクレピドグレルの切換に限って言えば、わざわざチクロピジンが抑制至適凝集能に入っている外来通院患者さんに、再度、開始時の副作用の チェックをしながら変える必要があるのかなと思います。老人医療から考えると、チクロピジン長期投与で肝機能が悪くなると言われていますが、以前から言わ れている事ですから、定期的に肝機能検査をチェックして継続しても悪くないと思います。

新たに発症した患者さんには、わざわざチクロピジンを使用することはないと思いますが、クロピドグレルがチクロピジンと比べて、凝集能を測った時にキチンと反応を示してくれるかは未知のところです。現在、私は薬を変え変更した患者さんの凝固能の経過を検証しています。学会で発表した段階では、クロピドグレルは3例しか含まれていませんでした。2例は効いていますから、割合としては良いのだけれど、n数を増やしていけば、もしかしたらチクロピジンと同じ程度の効果になるかもしれないです。それは判りません。

 

アスピリンに関しては、薬価は低いのですが、凝集能を測った時に、至適凝集能に行っている割合が低いです。また、アスピリンジレンマの問題もあります。1 回の定点測定で、良い悪いは判断できないので、私が行っているのは同じ患者さんを6ヶ月、1年毎に、2、3回と測定しています。薬が効いていないと思われ ている患者さんは本当に効いていないのか、薬が効いている患者さんは効き続けているのかを検証しなければなりません。あとは、後発薬品に変えたときに効い ているのかどうかもチェックしていく必要があると思います。そして、3回計っても効いていないとなると変える大きな理由になります。それとは別に、抗血小 板薬については出血のリスクもかなりありますから、効いているからと言って全てが良いと言えません。

 

聞き手
患者さんと向き合いながら日々、検証していかなくてはならないという事ですね。

佐々木先生
そうです。経過観察の時点でアスピリンが効いていないからチクロピジンやクロピドグレルに変えれば良いのか、アスピリンは効いていないのだけど薬をかぶせて使用して良いのか、難しいところだと思います。

アスピリンとチクロピジンの併用されている患者さんは、アスピリンまたはチクロピジン単独の患者さんよりも至適凝集能を満たすケースが多く、何によるもの かは不明ですが相乗効果が生体に起こっている可能性があると思います。また、作用機序は不明ですが、チクロピジンでADPではなく、コラーゲンが抑制に なっているケースもあります。

生体の反応は、教科書通りにはいかないという事でしょうか。だからこそ、3、4回と継続して測定 する必要があります。現在、慢性期の通院されている脳卒中患者さんの約200人で、多い人では4回の計測まで行っています。これをきちんとまとめて、また 学会発表することにしています。

WBAカルナ カルナによる抗血小板薬の再発予防の臨床的至適凝集能については、別の検証が必要になってくる と思います。臨床的至適凝集能の検証に5年程度は、時間をかけなければいけないと思っています。これまでの経過中に私が診ていた再発例に関しては、4例ほ どありましたが、至適凝集能であっても再発しているケースには、運命的なリスクファクターとして、回避できないものもあります。
年齢や喫煙の生活習慣だったり、頸動脈狭窄のように薬だけでは治らないものだったり、その人が持 っているリスクファクターを考えながら、トータルとして脳卒中再発を予防しなければいけないと思います。

ア スピリンを投与している患者さんが、至適凝集能に入っていない割合が多い事がどういう問題なのかを考え、必要であれば薬剤変更しないといけないし、他のリ スクファクターもあわせて考えなければなりません。これが、外来診察の指標になってくれれば、他のリスク管理とあわせて、脳卒中の再発が限りなく0(ゼ ロ)に近い状態になるのではないかと期待しています。

だからこれをどんどん使って計測を続けています。
データの集積は、まだ2年で始まったばかりです。

心 原性脳梗塞予防薬の指標としてワルファリンでINRを取っているように、抗血小板薬にも何か指標となるものが必要だと思います。非心原性の方が、患者さん の割合が多いのに、こちらの指標がないというのは、やはりおかしいと思います。その指標を考えて治療をしていかないと薬をただ飲ませていることになります し、患者さんも薬をもらって満足していると良くないと思います。

 

※注:PT-INR(Prothrombin Time-International Normalized Ratio:プロトロンビ時間)

 

 

 

 

print もどす <<前のページ   次のページ>>
Copyright 2012 IMI Corporation All rights reserved.